レポート

中小企業製造業界から見る米国のロジスティックスと流通DX化の現状視察レポート

2023/04/26

レポート

  • AI & IoT

※2023年2月 米国カリフォルニア州ロサンゼルス周辺

2020年春からコロナ禍により、まるで時が止まったかのような錯覚に陥っていましたが、3年ぶりの「BiZ旅視察」を再開する事ができました。 今回の視察で感じたことは、この逆風の3年間を辛抱と創意工夫の年月にあてて進化してきた企業がたくさんあるという事。 まずは西海岸の4企業の様子を見てきましたので、ご覧ください。

日程

日程は4泊6日 成田発→ロサンゼルス直行便
1日目:成田空港(午後)発✈ロサンゼルス(同日昼着) 到着後、市内視察
2日目:ホテル出発(午前)🚙企業視察~ランチ~企業視察🚙ホテル着(夕刻)
3日目:ホテル出発(午前)🚙企業視察~ランチ~企業視察🚙エンジェルススタジアム&スーパー立ち寄り、ホテル着(夕刻)終日
4日目:ホテル:(午前)勉強会とまとめ  午後;フリー
5日目:ロサンゼルス(午前)発✈日付変更線通過
6日目:成田空港到着(午後)

ホテルは、リトル東京のどまんなか、のミヤコホテルロサンゼルス
立地が良く食事にも便利。ホテル内には日本のベーカリーも入っていて、出発が早朝の視察日には、おいしいパンと入れたてのコーヒーがちょうどいい。


ミヤコホテル外観

ロサンゼルス空港には昼の到着、夕刻のホテルチェックイン時まで専用車と専属ガイドによりロス市内を観光。

視察1日目

■Walters Wholesale
会社概要:1955年創立された建築資材卸売業者。サブコントラクター向けに約75万種品目の商品を卸している。また倉庫内ではワイヤの加工製造もおこなっている製造業者でもある。

この企業訪問での一番の目玉は、契約業者(直営)が西海岸に約36店舗を展開しており、毎日受注品を建築現場に納期まで非常に正確に配送している、というかなり高い精度を誇るロジスティックスを見学。

SCMへの取り組みや、在庫管理、現在の経営の状況と問題点などについてディスカッション。EV時代に備えての家庭やオフィスなどにおけるバッテリーチャージステーションの構築を見越しての対応策などの将来の業界の動向を聞いた。


販売店の商品陳列風景

視察2日目

■Sam’s Club (Walmart) Center
企業概要:日本にもあるコストコのような会員制のホールセールクラブで全米最大のチェーン。ウォルマート社の姉妹会社である。1983年に創立。2019年の売上高は約580億ドルでコストコについで全米第2位。店舗向け専用の倉庫と流通センターを多数持つ。

検証内容:在庫管理、出入荷管理、SCM、職場内安全衛生管理などを検証。また、24時間体制でいかに効率よくミス出荷を防いているかという現状を聞いた。またそのオペレーションシステムについての現状と今後の課題と展望も詳しく聞くことができた。


人が少ない巨大な倉庫

視察3日目

■Legacy scs
企業概要:1983年に創立された3PL (Third Party Logistics)企業。
SCMのコンサルティング、や委託業務もおこなっている。全米で約40か所の拠点を持ち、ウォルマートやホームデポなどの大手流通業における倉庫管理、業務管理、職場安全衛生管理、人材派遣などを一手に引き受けている流通系アウトソーシング企業。

質問内容:3PLとしての役割、そしてその業務内容。アウトソーサーとしての現状の課題、米国における3PL業界の現状と将来の動向や関連情報、またSCMシステム構築状況についても質問。週7日24時間の労働体制の管理状況をいかに運営しているのか?また、クライアント企業とのコミュニケーションメソッドなど。
また、新規顧客開拓のための営業状況と、流通センターにおけるリスクマネジメントへの取り組みを検証。

ここからサンディエゴ方面へ南下

■EV West
企業概要:2004年にスケートボードの製造をしていたマイケル・ブリーム氏が、趣味で始めた自分の車をEV車へ改造した事が話題を呼び、それが本業になって現在では多くのEV車への改造注文が殺到。同社はこれを「EVコンバージョン・プロジェクト」と呼んでいる。現在はポルシェやBMWのコンバージョンからの改造注文が非常に多く、改造完了まで4、5年待ちの状況だという。


デロリアンのEV車への改造風景


ものすごい部品の数々

今回は、EVコンバージョン事業の現状と将来の動向、改造に必要な部品の調達状況、改造担当エンジニアの育成、EV業界の現在の課題点、米国内における今後のEV車に対するインフラ整備状況、既存の自動車メーカーのEV生産に関してコンバージョン事業の将来の見通しなどを聞いた。トレンドは、BMW,ポルシェのような高級車を改造するのと、デロリアンのような、レアな高級車、またクラシックカーのコンバージョンリクエストも非常に多く、この状況は、しばらくは変わらないだろうと。

番外編

終了後、ダウンタウンへの帰路途中、アナハイムを通過。アナハイムといえば絶対に立ち寄りたいのが「エンジェルススタジアム」。まだシーズン前で静か。記念撮影!

そしてアメリカの有名スーパーといえば、「トレーダージョーズ」。地元はもちろん観光客にも大人気なのが、各店舗で季節ごとに発売しているオリジナルデザインの「Toteバッグ」。(写真は一例)

視察の合間には息抜きも大切。その土地柄を知るにも、スーパーマーケット見学は欠かせない寄り道のひとつ。
倉庫の大きさだけでなく、野菜・ハンバーガー・アイスクリーム・お菓子のすべてがビッグサイズ、そしてロサンゼルス名物の渋滞やちょっと緊張する空港の税関も、すべてがアメリカン。大変充実した4日間でした。

お疲れ様でした!

今回の視察の感想

ロサンゼルスは製造業にかかわる企業が少ないが、アメリカ西海岸一の経済の拠点でもあり、多くのデポ、支店、子会社などが存在しているため、今回は運よくテーマに沿ったアポイントを取ることができた。どの企業もコロナ禍を経験したこの3年間で、逆境を転換期ととらえて改革に踏み出し、業績を伸ばしてきた企業である。

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